海の境界線 4
悪いことに、石油を埋蔵している大陸棚のどの海域もが、国際的紛争の原因となる可能性を秘めた、あるいは、それがすでに起こってしまった地域でした。
国際司法裁判所の決定は、この状況の緩和にあまり役立つものではなかったのです。
北海に関しては有効であったかもしれませんが、法廷の定めた協定の多くは、当事国が最大限の分け前を得ることができるようにと各々の言い分を聞いているうちにかえって問題を紛糾させてしまいました。
ほどなく、石油の豊かな北海で発生した問題が、世界各地で続発するようになりました。
南シナ海のスプラットリー諸島(南沙諸島)は、33余りの島々と、400の暗礁や環礁から成っている、それまでどこからも注目を浴びたことなどなかった場所です。
スプラットリー諸島周辺の大陸棚が、石油についてどうやら有望らしいということがわかったとたん、事態は一変したのです。
突然、中国が、この諸島は太古より中国のもので「譲渡不可」な領域であると主張したのです。
そしてなんと、台湾とべトナムも同じことを言い始めたのです。
ほとんど時を同じくして、マレーシアとフィリピンも動き出しました。
両国は、ただ文書で主張するのみならず人工の小島をつくり上げ、それが海面から顔を見せているようにして、急ぎ軍隊を送り込むことまでしました。